28AWGケーブルには利点が多くあります。特に、高密度実装のデータセンタや通信機器室では、省スペース化に有効です。
まず始めに28AWGケーブルとは、28AWGより線を使用している細径のパッチケーブルです。24/26AWGと比べて外径はより細くなっています。
メリット:
1: 省スペース化
直径わずか4.1mmの28AWGケーブルは、直径5.9mmの24AWGケーブルのほぼ半分です。 この細径化により、ケーブル保持・管理が容易になり、経路を広く確保したり、広い空間を作れます。下記図は、28AWGケーブル束と24AWGケーブル束の比較ですが、その差は一目瞭然です。
2: エアフロー改善
28AWG細径ケーブルを使用すると、パッチパネルやネットワーク機器の前面のスペースを取らず、エアフローの改善や機器の冷却性が上がります。
3: 配線時の使いやすさ
配線された状態の24/26AWGケーブルと比較して、28AWGケーブルは、ケーブル同士の間を広く空けられるので、機器の設置やMACする際にケーブルを容易に扱えます。 また、機器のポートアサインメントが識別しやすいです。
4: ケーブルマネージャの数が少なくて済む
28AWGケーブルは細いので、24AWGケーブルと比較してより柔軟性があります。このため、水平配線用マネージャを大量に使う必要はありません。 垂直配線用マネージャでの占有空間を50%も減らすことができます。
5: ラックスペースを節約
高密度の1U、もしくは2Uパッチパネルに、より多くのケーブルを配線することができます。
通常配線のケーブルはコネクタどうしの隙間がなく脱着しにくいですが、SlimNet細径パッチケーブルでは、ケーブル間に余裕があり、脱着も簡単です。
6: 価格
細径パッチケーブルは、銅の使用量が少ないので、24/26AWGよりコストを抑えることができます。高密度実装のデータセンタや通信機器室にて、何百本と必要な場合は大幅なコストダウンになります。
7. 568-C.2規格対応
<ご購入前の確認事項>
1. 性能
細径の28AWGは、銅が少ないため、挿入損失の劣化、NEXT、PS-NEXTが増加します。高いNEXTは、ケーブル性能においてはよいことです。下記は、ケーブル性能の公式です。
帯域幅 = NEXT – 挿入損失
2. 短いチャネル長
パーマネントリンク90mの場合のチャネル長:
- 28AWGパッチコードの全長: 6m
- 水平配線の全長 : 90m
- 最大チャネル長 : 96m
例えば、90mの23AWG水平配線を敷設してある場合、両端に5mずつの24AWGパッチケーブルを使って、最大チャネル長を100m確保できますが、28AWGの細径パッチケーブルを使用する場合、最大チャネル長を96mにするために、両端に接続するパッチケーブルの長さを3mにする必要があります。
最大チャネル長(m)の算出式:
(パッチケーブル長 x パッチケーブルのディレート値) + (水平配線長 x 水平ケーブルのディレート値) = <102m
パッチケーブルディレート値:
- 28AWG 撚り線 = 1.9
- 24AWG 撚り線 = 1.2
- 24/23AWG 単線 = 1.0
3. PoE配線の発熱
ケーブルが細い分、熱はケーブル束にこもってしまいます。 発熱低減のために、TSB-184にて概説される15℃の範囲内で温度管理できるよう、ケーブル束のサイズを減らす必要があります。
推奨ケーブル束のサイズ:
IEEE 802.3 af/at (PoE, PoE+): 最大48本
IEEE 802.3 bt (PoE ++): 最大24本
4. 市販RJ-45プラグは取付不可
28AWGパッチケーブルは、小径の内部導線を使っており、外径も細くなっているので、お客様でご用意できるような規格化されたRJ-45プラグでは、確実な取付ができません。Black Boxでは、細径ケーブル専用の特注仕様のRJ-45プラグを使って、コネクタ取付済みパッチケーブルを製作しています。プラグが特注仕様であることは、コネクタ取付の場合にのみ気にするべきことで、取付後のプラグの使い勝手は規格品と同一です。さらに、プラグブーツが無いので、プラグ横幅が狭くなっており、最近の高密度実装ネットワーク機器に差し込んでも邪魔になりません。
なお、本ケーブルのカスタマイズやコネクタ取付直しはお薦めしておりません。